覚醒のとき

第1章

それは1991年、霊気イニシエーション*を受けている時に起こりました。

その日の朝、私の「愛」は、ハートチャクラがトクトクと脈打っているかのような感じで、体の内側で静かに存在していました。その感じは、小さな覚醒をいくつか繰り返し体験した時から始まっていました。 

 この年の始めまでの数年間に、心が大きく開いたと感じる体験が、何度も何度もありました。それは、大きな気付きや心の成長があると、誰もが体験する小さな覚醒です。 

 そんな体験の度に、私は、自分の「愛」の豊かさを実感し、それが少しずつ膨らんでいくのが分かりました。それに伴い、目の前の現実・対人関係・仕事への評価など、人生の豊かさがどんどんと増してきていました。

 霊気のイニシエーションの日、私の内側にある「愛」は、信じられない速度でどんどんと大きくなっていきました。ハートチャクラを抜け出して、体いっぱいに満たされたかと思うと、次には体を抜けてオーラの端まで広がります。まるで、呼吸をする度に膨張するかのようでした。  

 体がすっぽりと「愛」に包まれたと感じる頃には、「私」という自我は小さく小さくなって、意識の端の方でこじんまりとしている感じでした。

 「愛」は、私の体から絶え間なく溢れ、どんどんと広がり続けました。それは宇宙が体の中から誕生して、実物大の宇宙に広がっていくかのような感じでした。私の体を貫いて、私の自我を宇宙の隅っこにちょこっと片づけて、私は宇宙とひとつになりました。 

 宇宙は「愛」そのものでした。その時、私の中には「愛」以外のものは何も存在していませんでした。私の小さな自我も、宇宙の一部となって宇宙と共にいる実感がありました。

 

 その日から、私が感じるものはいつも「愛」でした。それまでは、あーでもないこーでもないと色々な感情と共にいたはずが、何を見ても愛おしく、何をしても素晴らしく、誰を見ても輝いて、どこにいても至上の喜びを感じるのです。 

 そんな感じが3ヶ月ほど続きました。自分はもう天使にでもなってしまったのか・・と思うくらい、自我も欲もなく、エゴはどこにも存在しませんでした。

 私は、「霊気」を受けるとみんなそうなるものだと思っていました。ところが、霊気ワークショップのアシスタントをしていた一年の間、私と同じような体験をする人はひとりもいなかったのです。 

 “あれは何だったのだろうか・・?”

 それが「覚醒」というものであるという事が分かったのは、それから一年も経ってからでした。素朴な疑問は、既に覚醒されていた本山博さんの著書で答えを見つけました。 

 私は、魂が決めた時期に、魂の選んだ仲間達に見守られて、生まれてきた目的を生きる人生を、自分の力でスタートさせたのです。

 小さな覚醒は、日々、誰にでも起こります。

問題が起こったら目を反らさないこと。 

試練が来たときに、それが何を意味しているのか、自分のどこを改めるべきかなど、真剣に取り組むことによって、より良い道へ導かれていることが分かります。 

 自分を変えることに、強い抵抗と恐れを抱くかも知れません。それが強ければ強いほど、真剣に変えるべきことなのです。試練は、成長のチャンスです。より良くなるための通過点だと捉えると、踏ん張れるのではないでしょうか。

 「覚醒」の体験から、大きく変わった事がひとつあります。 

 3ヶ月ほどの絶大な愛を呼吸し続ける時を経て、私は人間らしい自然体に戻りましたが、心の在りようがまったく違っていました。以前はエゴが私を支配し、私の最前面で主導権を握っていましたが、それ以降の私は、エゴと首位の座を入れ替わった「ハイヤーセルフ」と常に共にいるという事です。

 自分が何を感じ、何を思い、どのような価値観で考えているのか、小さな子供を見守る年長者のような気持ちで自分を見ているのです。感情のムラや、意味のない抵抗などありません。いつもとても静かで冷静な精神状態にあり、物事の本質を見つめています。人の表面的な言動に惑わされることなく、心の奥深くから発せられるメッセージを受け取っています。

 しかし、感情がなくなったのではありません。むしろ逆です。面白いのは、以前よりエゴの感じ方が鮮明になった事です。感じること、味わうこと、触れること、ただ静かに呼吸することさえ、以前よりも強く深く感動的です。

 何かに触れると、様々な感情が作動し始めるのが分かります。私はそれを楽しみ、味わい、時にはめいっぱい表現し、人間であることの豊かさを満喫しています。それはまるで、楽しいおもちゃを手にしてるかのような愉快な感じです。

 

 *霊気イニシエーション

霊気は、アメリカ人のスティーブン・ザビエルと言うサイキックヒーラーから伝授されました。

彼は、サイキック能力を活かし個人セッションを日本で行うために来日していました。

1990年当時の私は、自分の身に起こる様々な体験の意味を、スピリチュアルな世界に答えがあると確信し、様々なワークショップに参加していました。

その中で、サイキックとか、チャネリングなどに大変興味を持ち、彼の個人セッションを受けることにしたのです。

彼のセッションを受けた日は、その前に受けたブリージングのワークによって、既に私の疑問はおおよそ解消されていました。

深い呼吸を続ける内に、体に憑依していた未浄化霊が立ち去り、オーラが一掃され、魂の感覚が鮮明に蘇っていたからです。オーラを見たり、エネルギーを感じたり、それまでぼんやりしてしまっていた感覚が、スッキリと爽やかに感じ取れるようになっていたのです。

私の疑問は、自らの内側から答えが浮上して来ていました。

その答えを求めるがために申し込んだ個人セッションでしたが、もうスティーブンに聞くことは何もありませんでした。

そんな雑談をして、楽しく1時間半のセッションを終えたあと、スティーブンから意外な申し出を受けたのが始まりです。

それは、ー私が優れたヒーラー能力を持っているから、今度日本で行うことになっている“霊気”と言うセミナーを開催するときに、アシスタントをしてサポートして欲しいーと言われたのです。私がヒーラー能力があるとは、その一年ほど前にも一度だけ言われたことがありました。

それは、当時していたファッションデザイナー仲間の一人に、私と同様に霊感の鋭い人が居て、互いの守護霊を見合った際に、その人から出た言葉です。

霊能力には信頼のおける友人だったことがあり、ヒーラーが何をするのか良く分からないまま、自分の可能性として受け止めていたのです。

スティーブンは、その年の秋から始める霊気セミナーの準備として、私を含め3人のサポーターを選び、特別の霊気伝授講習会を行ってくれました。

霊気には、いくつかの手技があり、波動レベルが順次上がっていくようでした。

一つの講義が終わると、イニシエーションを行い、その日だけで多分3回ほどしていただいたと記憶しています。

私の内側から飛び出した宇宙は、ヒーリングの度に力が高まり、イニシエーションの度に波動レベルが上がっていきました。

この繰り返しの果てに、私はとうとう魂の覚醒を得たのです。

覚醒のいきさつは、とてもシンプルでしたが、当時は霊気が凄いのだと理解しました。が、思い越してみると、一緒に講習を受けた、通訳さんと主催者側の担当さんの合計5人の内、誰一人として同じ体験をしていなかったのです。

また、その後のセミナーでも、毎回数十人の人達が受講されていましたが、私と同じ体験をした人は一人も出ませんでした。

それが、自分の体験の意味を探すきっかけとなり、多数の書物から答えを探す内、本山博さん著の「チャクラの覚醒」と言う本の一節から、まったく同じ記述を発見し、それが覚醒であったと理解したのです。

 

*スティーブン・ザビエル 来日の際に、招聘元のスタッフがスペルを誤読し、当初“ステファン・グザビエ”として紹介されていました。名前の誤読のみ訂正され、日本では“スティーブン・グザビエ”として知られた霊気マスターです。